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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第3章 《其の弐》
 そんな疑惑と懸念すら、脳裡をよぎる。それに、気がかりはもう一つあった。二度目に絵馬堂の前で逢った時、孝太郎は美空に万葉集の歌を教えた。後に孝太郎が少しずつ説明したところによれば、あの歌は柿本人麻呂という有名な歌人が詠んだものだという。〝万葉集〟にも収められている恋の歌だが、元々は柿本人麻呂歌集の中の一首だと聞く。
 切ない恋心を詠んだ恋の歌をひそかに想いを寄せる女性に贈ること自体は別段、何の不思議もない。自分の心を歌に託して告白しただけのことだ。
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