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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第3章 《其の弐》
 だが。よくよく考えてみれば、何ゆえ、一介の行商人にすぎない男がそんな難しげな歌を知っているのか、万葉集なぞという歌集そのもの自体、市井で生きる一般庶民が知るはずのないものだ。その町人が知るはずもない歌集や歌人の名を当たり前のようにすらすらと諳(そら)んじるほどの教養を持つ男。
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