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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
 所帯を持って以来、こんなことは初めてである。普通、こういう場合は良人がどこぞの店で飲んだくれているか、女の許に泊まっているかと勘繰るものなのだろうが、美空は不思議とそんなことは少しも考えなかった。
 ただ孝太郎の身に何事か起こったのではないかと、そればかりが不安で一晩中悶々として過ごした。結局、床には入ったものの暁方までまんじりともできず、夜通し起きている羽目になってしまった。
 東の空の端がわずかに白み始める頃、腰高(こしだか)障子が静かに開いた。
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