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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
ちなみに、孝太郎の母おゆりの方は藩主が入浴する際に奉仕した湯殿係で、孝信がからかい半分に湯舟の湯をかけてやったところ、〝何をあそばされます〟と果敢に応戦し、藩主に自らも湯をかけ返した。怖いもの知らずというか、相手が藩主とて、いささかも臆せず物怖じもせぬその度胸の良さが、孝信には強烈な印象を与えたらしい。
しかも、おゆりの方は可憐な美貌であった。見た目のたおやかさからはおよそ想像もつかぬ果敢さ、その外見と内面の違いも新鮮だった。