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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
―兄上、本当にこの国から尾張藩も公方さまもなくなってしまうのですか?
 あどけない声で問う六歳下の弟に、孝次は笑って応えた。
―そうだな、いつか遠い将来、真にそのような日が来るであろうな。何故なら、国は将軍やごく一部の特権階級の人たちのためのものではなく、この国を支え形作るあまたの民のために本来あるはずものだからさ。一般の人々がこの普遍の事実に気付いた時、将軍も武士も必要のない世の中が来るであろう。
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