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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
「思えば、兄上は常にはるか先を見ておられた。あれほど英明な方であれば、俺などよりははるかに立派な藩主となられたろう。だが、俺には兄上との約束がある。あの約束がある限り、俺は城に戻らねばならない」
―国とは、民草のためにあるものであり、藩主とはまた、国の基盤となる民草のために働くものだ。
 その兄の言葉を今も忘れられないのだと、孝太郎はそのときだけは真摯な眼になって語った。
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