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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
一体、その先に何が待ち受けているのかは判らない。けれど、孝俊と一緒であれば、どんな試練であろうと、乗り越えてみせよう。
美空がいつまでも引き戸を開けているのを訝ったのか、傍らに付き添っていた奥女中が近寄ってくる。
「いかがなされましたか?」
年の頃は二十歳過ぎの美しい女である。だが、つり上がった眼(まなこ)や能面のように表情に乏しい様は、何とはなく狐面を思わせる。品のある美貌ではあったが、どこか冷たい印象を与える女であった。