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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第2章 《其の壱》
三十三の父とも釣り合う年齢だ。美空の母お志津は、美空が二つになる前に病で亡くなった。お志津が亡くなった年の冬、江戸は質の悪い流行風邪が蔓延し、体力や抵抗力のない女、年寄りや子どもが真っ先に犠牲になった。お志津は働き過ぎがたたって身体が弱っていたところに、その風邪に罹ったのである。
父の口から再縁の話が出た時、母が亡くなって既に十年以上が経過していた。十二歳の美空に、父が後妻を迎えようとすることに何の異存もなかった。