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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第7章 第二話【烏瓜~からすうり~】《其の壱》
が、内実は、上屋敷の者は奥女中ばかりか、江戸家老の碓井主膳を初め主立った重臣たちも皆が美空をまるで汚いものでも見るかのような眼で見ている。その眼は暗に美空が尾張藩の御簾中としてもその世嗣の生母としてもふさわしからぬと主張していた。たとえ表立って口にはせずとも、それらの冷たい眼は物言わぬ重圧を美空に与えてくる。時折、美空はその無言の圧迫に耐えかね、弱音を吐きそうになるこそもしばしばだった。