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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第7章 第二話【烏瓜~からすうり~】《其の壱》
裏店育ちの娘が玉の輿、それも尾張藩のご簾中となるという夢物語のような幸せを掴んだにも拘わらず、態度に驕ったところはなく、むしろ他人に気遣いのできる優しい娘だ。それでいて、機転は利くし、変に臆してもいない。偉ぶることもないのに、その堂々とした様は、彼女がなるべくして大藩の藩主の正室になった―、この少女の夢のような運命はまさに天の配剤であったのかと思うほどだ。このような女性に眼を付けたとは、藩主孝俊の、若いながらも英明な人物との評価を裏付けるものでもある。