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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第8章 【烏瓜~からすうり~】 《其の弐》 
 孝俊は淡々と語った。
 江戸の上屋敷で辛い幼少時代を過ごした孝俊は十二の春、国許に戻った。というよりは、体の良い厄介払いであったといえよう。当時はまだ藩主夫人であった宥松院が良人孝信に孝俊(当時は幼名孝太郎を名乗っていた)を国許に戻すように勧めたゆえである。
 孝俊はむしろ歓んで父の命に従った。義母に心ない罵詈雑言を投げつけられ、冷たく当たられる日々には辟易していたから、国許に帰れと言われたのは孝俊にとっては渡りに舟であった。
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