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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第9章 【烏瓜~からすうり~】 《其の参》
「義母上は先ほどから美空のことを身分が賤しいとか申されますが、武士も町人もどこが違うというのですか。私も人間であれば、彼等も同じ人間、その同じ人間同士が何故、身分や生まれが賤しいとか、そのように決めつけることができるのでしょう。私の母は黒鍬者(雑役夫)の娘でございました。さりながら、母は亡き父上に愛され、私を生んでくれました。私は妻となる女性を生まれ育ちで選びたくはありません。生まれだけが高貴でも、心の賤しき貧しい女より、町家の生まれの美空の方がよほど心がきれいで優しい」