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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第9章 【烏瓜~からすうり~】 《其の参》
まさに、これほどの皮肉はない。孝俊は二条関白家の姫であった義母よりも、職人の娘の美空の方がよほど高貴な心を持っていると言っているのだから。
あからさまに詰られ、宥松院の浅黒い顔が更にどす黒く染まった。
二条家の姫として生まれ育った宥松院にとって、誇りを傷つけられるほど腹立たしいことはないのだ。ましてや、この場で孝俊から、とうに亡くなったあの忌々しい女のことまで持ち出されて、怒りは頂点に達した。