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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第9章 【烏瓜~からすうり~】 《其の参》
「そして、そのことをよく憶えておくようにとも仰せでした。兄上はいつもはるか未来を見ておられた。人の真価がけして生まれや身分で決まるものではないと信じておられました。たとえ義母上さまがどのように仰せであろうと、私は兄上のその尊いご遺志を受け継いで参る所存にございます。藩主一人のための政ではなく、民草のための政を致しとうございます。今の義母上のお言葉をもし兄上がお聞きになられたれば、いかに思し召されるでありましょう」