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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第9章 【烏瓜~からすうり~】 《其の参》 
 すべてが、二十四年前と同じだった。
 あまりの口惜しさに物も言えぬ宥松院に、孝俊が静かな声で言った。
「それに、今後、我が妻を愚弄することは、たとえ先代さまご簾中であられた方とて、この私が許さない。それだけは、どうかよくよくお心に留めておかれた方がよろしいかと存じます」
 孝俊が立ち上がり、去ってゆく。
 その秀麗な面には怒りの色はなく、ただひたすら憐れみの色があった。
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