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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第10章 【烏瓜~からすうり~】《其の四》
 午睡から目覚めた徳千代が乳母に連れられてきても、腕に抱きはするけれど、心ここにあらずといった様子だ。これまで徳千代と共に過ごす刻が美空にとっては最も心和む時間であった。それなのに、我が子と過ごす刻でさえ、美空の顔から淋しげな微笑が消えることはなかった。
 哀しみと諦観の間で揺れ動く心を抱え、美空は烈しい葛藤の狭間にいたのだ。
 孝俊を好きだと思う心、大切だと思う心。
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