この作品は18歳未満閲覧禁止です
激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第10章 【烏瓜~からすうり~】《其の四》
赤い実を眺めながら、そんなことをとりとめもなく考えていると、突如として胸の奥から烈しい吐き気がせり上がってきた。
「―」
美空は片手で口許を覆い、愕然とした。
これは、もしや―。
既に一度経験済みなせいか、予兆を感じた。
もしかしたら、ここ半月ばかりの不調は身ごもったせいなのかもしれない。もっとも、不調とはいっても、ただ食が落ちただけで、まさかそれが悪阻の初期症状だとは考えもしなかったのだけれど。