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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第2章 《其の壱》
 美空は、そんなことすら確かめもせず、無意識の中に男に近寄っていたのだ。我ながら、あまりにも大胆というか、はしたないことのように思え、美空は赤面した。咄嗟にせわしなく視線を巡らせていると、ふっと朱塗りの櫛が眼に入った。
 小さな、美空の手のひらにすっぽりと納まるほどの大きさだが、白い水仙が蒔絵で描き出されて、若々しい華やぎを添えている。
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