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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第10章 【烏瓜~からすうり~】《其の四》
 その二日後の夕刻、美空の居室で孝俊と美空は庭を眺めていた。徳千代が二人の前を覚束ない脚取りでよちよちと歩いている。愛盛りの我が子を見つめる孝俊のまなざしは蕩けるようだ。
 この一人息子を、孝俊は溺愛している。美空がもう少し厳しく育てた方が良いのではと言っても、これに関してだけは聞く耳を持たない頑固さだ。
「徳千代、大分、あんよが上手になったな」
 相好を崩す孝俊は機嫌が良い。例の話をするならば今しかないと思い、覚悟を決めた。
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