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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第2章 《其の壱》
だが、女であるにせよ、世間で生き抜くためにもせめて文字の読み書きくらいはできなくてはと、美空は自分が内職で稼いだ金を束脩に当て、寺子屋に通ったのである。その浪人は竹中一馬といい、父とほぼ同年輩の男で、穏やかな物腰の偉丈夫だった。
いつもにこにこと笑って、怒っているところをおよそ見たこともないが、噂では剣の方は相当の遣い手らしい。妻女のお袖との間に子はおらぬせいか、夫婦共に子ども好きで長屋中ばかりか近所の子まで集めては学問を教えるのに熱心だ。
いつもにこにこと笑って、怒っているところをおよそ見たこともないが、噂では剣の方は相当の遣い手らしい。妻女のお袖との間に子はおらぬせいか、夫婦共に子ども好きで長屋中ばかりか近所の子まで集めては学問を教えるのに熱心だ。