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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》
好いた惚れたですべてが解決していた蜜月の頃はとうに過ぎ去り、今や孝俊は尾張藩主という重責にあり、美空はご簾中さまと呼ばれる尾張藩主の正室だ。美空は世継の徳千代、並びに次男孝次郞の生母としての立場もある。昔、徳平店で暮らしていた頃のような小間物屋の若夫婦ではない。あの頃であれば許された些細な夫婦喧嘩も今は、ただの痴話喧嘩では済まないというのが現実であった。
何を言っても、藩主、ご簾中という立場がついて回り、迂闊に喋ることもできない。
何を言っても、藩主、ご簾中という立場がついて回り、迂闊に喋ることもできない。