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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》 
 いや、この頃では、二人で軽口を言い合うことすら無くなってしまった。孝俊が藩主になりたての頃には、二人でよく冗談を言い合っていたこともあったのに。
 あの時代が懐かしい。美空は最近、徳平店で暮らしていた時分をしきりに思い出す。大工の女房お民のいかにも人の好さそうな笑顔、お民に説教ばかりされていた左官の源治の困ったような表情が懐かしく甦ってくる。
―徳平店に帰りたい。
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