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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》 
「殿、私は裏店で生まれ育った者にございます。思いもかけず尾張藩の上屋敷でこうして暮らすような身となり、殿に相応しき妻であろうと日々、努力致して参りましたれど、やはり生まれ育ちは変えられませぬ。それゆえ、殿にご迷惑をおかけして―」
 美空は、孝俊から初めて恋心を打ち明けられたときのことを思った。もう三年、いや、四年近くも前のことになるけれど、あの日、孝俊は美空に万葉集の中の一首を示し、その和歌に託して自分の恋情を美空に伝えたのだ。
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