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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》
―良いか、美空。お前はずっと、人々を包み込む蒼い空のようでいるんだぞ? 何があっても、いつも他人(ひと)を思う気持ちを忘れずに、他人に泣かされることがあったとしても、お前自身はけして他人を泣かせるな。
父の膝の上に座って聞いたあの科白は、今でもなお、美空の心の奥深くで生きている。
飾り職人であった父の手は大きくて、指がすんなりと長くて、とてもきれいな手をしていた。数々の繊細な細工を生み出すその手が美空の頭を愛おしげに撫でてくれた―。
幼い頃の大切な父の想い出だ。
父の膝の上に座って聞いたあの科白は、今でもなお、美空の心の奥深くで生きている。
飾り職人であった父の手は大きくて、指がすんなりと長くて、とてもきれいな手をしていた。数々の繊細な細工を生み出すその手が美空の頭を愛おしげに撫でてくれた―。
幼い頃の大切な父の想い出だ。