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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》
「たとえ幼くとも、事の良し悪しはちゃんと心得させねばなりませぬ。非は年長者であるそなたの忠言をきこうとしなかった若君にあります。そなたは何も悪くはない。徳千代には私からよく言い聞かせておきますゆえ」
美空の言葉に、どうやらお咎めはないらしいと、楓は涙ぐんで頭を下げた。
徳千代はといえば、美空の胸に顔を埋めて、わんわんと派手な泣き声を上げている。
その時、居間の襖が静かに開き、抑揚のある声が喧噪を破った。