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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》 
「はい、謹んで承りまする」
 美空がその場に端座すると、孝俊は息を吸い込んだ。
「上さまにご後嗣のおわされぬのは、そなたもよく存じておろう」
 美空は小さく頷く。
 御年四十八におなりの将軍友公には現在、後を次ぐべき世嗣がいない。宮家から降嫁した姫宮である御台所との間には子がなく、数人の側室が生んだ公子は皆、十五歳に達する以前に早世した。
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