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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第2章 《其の壱》
 だが、ゆきずりのあの男に二度と逢うことは不可能に近い。それでも、美空は町に出るときはいつも小さな巾着にわずかばかりのお足を入れ、それを懐深くにおさめていた。自分がうっかり落としてしまった櫛を買うためであり、もし万が一つにも途中であの小間物売りの男にめぐり逢うことがあればと思ってのことだった。
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