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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》
孝俊らしくない持って回った言い方だが、我が家、即ち尾張徳川家から次の将軍を出すということは、他ならぬ当の孝俊が宗家たる将軍家に入ることを意味する。
そんな馬鹿なことがと言いたかった。良人が御三家筆頭の当主であると知っていながらも、これまで美空は孝俊が将軍になることなんてあるはずがないと信じ込んできたのだ。
「出過ぎたことは承知で申し上げまする、殿、そのお話は既にもうお決まりになったことにございますか!? お断りするわけにはゆかぬのでございますか」
そんな馬鹿なことがと言いたかった。良人が御三家筆頭の当主であると知っていながらも、これまで美空は孝俊が将軍になることなんてあるはずがないと信じ込んできたのだ。
「出過ぎたことは承知で申し上げまする、殿、そのお話は既にもうお決まりになったことにございますか!? お断りするわけにはゆかぬのでございますか」