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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第13章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の弐》
 誠志郎は月に、二、三度は江戸からやってくる。一度は太吉と一緒だが、その他は大抵は一人で訪れる。遠く離れたここまで、わざわざ仕立物の仕事を持ってくるためだけに、旅をしてくるのだ。
 依頼者からの注文と真新しい布を持参した誠志郎は、ほんの一刻余り滞在しただけで、慌ただしく帰ってゆくのが常であった。そして、その次におとなうときに、出来上がった着物を受け取り、相応の報酬を置いてゆくと共に、次の仕事も持ってくるのだ。
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