この作品は18歳未満閲覧禁止です
激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第13章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の弐》
この池は〝螢ヶ池〟と呼ばれ、この池を含む辺り一帯は螢の名所として知られることから、〝螢ヶ原〟と呼ばれている。ここから伸びた小道を辿れば、二つに分岐した道まで出て、更にその先までゆくと、主街道に出ることができる。
螢ヶ池は常に蒼い水を満々と湛え、杜若と蓮の名所として、あまりにも有名だ。毎年、五月から七月にかけて咲き誇る花をひとめ見ようと、わざわざ江戸から見物に訪れる旅人がいるほどであった。