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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第3章 《其の弐》
張りつめた静寂の中で視線と視線が絡み合う。―あのときと同じだった。十日近く前、町の往来でふとすれ違ったあの一瞬、あのときもやはり、こんな風に刻が止まったように感じたのだ。
この男(ひと)とその周りを取り巻く風景だけが色を持っているように際立って見えた。美空は呼吸をするのさえ忘れたかのように眼を見開き、男を見つめた。あの幾つもの夜を集めたような瞳が射抜くように美空を見つめている。穏やかでありながらも烈しさを宿した瞳で。