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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第13章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の弐》
その口許がほんのわずかに綻ぶ。見ようによっては笑っているようにも見えたけれど、そのおよそ生気を感じさせぬ氷のような微笑は、この世のものとは思えぬほど美しく、見る者の魂まで凍らせてしまうほど冷たかった。
初めて見る酷薄な顔に、美空は我知らず身体を強ばらせた。唇が戦慄く。孝俊のこんな表情を、声を、美空は見たことも聞いたこともなかった。そして、孝俊に対して、身体が震えるような恐怖を感じたことも。