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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第3章 《其の弐》
遠方につい今し方眼にしたばかりの紅葉や桜の樹々が黒々とした影となって立ちはだかっている。その樹々の向こうに巨大な日輪が今にも沈みゆこうとしていた。熟(う)れた太陽は不吉なほどに紅く輝き、空ばかりか、すべてのものを灼き尽くそうとするかのように茜色に染める。
もうすぐ、夜がやってくる。その前に帰らなければと思うのに、両脚は縫い止められたように動かない。そのくせ、男の深いまなざしに見つめられることが怖くて、男の方を見ることもできない。