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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第3章 《其の弐》
 美空は自分で自分の心を持て余す。
 ふいに、熟した柿を思わせる太陽が滲み、ぼやけた。美空は狼狽え、眼をまたたかせる。
 白い頬を涙の雫がころがり落ちた。
「どうして泣くのですか?」
 男が抑揚のある声で問うた。心に滲みるような深い声だ。
―ああ、この男(ひと)は声ですらも人を魅了する。
 そう思うと、今更ながらに泣けてきた。一度溢れ出した涙は意思の力では止められない。何より、彼女自身、自分がどうして泣けてくるのか判らない。
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