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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第14章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の参》
 以前なら、その香りに包まれただけで安堵できたのに、今は嗅ぎ慣れない匂いを嗅いだような気がする。孝俊の身体の重みをどこかで疎ましく思う自分がいることが哀しかった。
 ふっと誠志郎の面影が瞼に甦る。今頃、どうしているだろうか。何をしているだろうか。
 今度、誠志郎があの村を訪れても、美空はあの家にはいない。そのことを、果たして誠志郎はどう思うか。
 美空がそんな想いに囚われた。
 と、突如として、孝俊がパチンと指を弾く。
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