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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第14章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の参》
小庭には、梅の花が早くも花を付け始めている。白い清(さや)かな花がちらほらと咲いて、陽の光が降り注いでいる様が早い春の訪れを告げているようだった。
「ご簾中さま、そろそろ障子をお閉め致しましょう」
智島が控えめに声をかける。
それでも、美空は身じろぎもせず、ただ虚ろな視線を泳がせているだけだ。
庭を眺めているようでも、恐らくは、この美しきご簾中の瞳は何も映してはいないのだと智島にだけは判っていた。