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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第14章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の参》
「ご簾中さま」
 何度目かに呼びかけで、美空はやっと振り向いた。
「ああ、智島か」
 と、ずっと傍に控えていた智島の存在に今初めて気付いたように言う。
 だが、それもいつものことゆえ、智島は敢えて何も言わない。
 美空は、この忠実無比な侍女の顔をじっと見つめた。智島は以前にもまして、美空にとっては欠くべからざるひとになっている。
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