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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第14章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の参》
それから更にふた月を経た卯月の初め、尾張藩上屋敷から立派な駕籠が二つ、江戸城に向けて出立した。回りを数十人の物々しい警護の武士に守られ、二挺の乗り物はゆっくりと進んでゆく。二つの駕籠の中、後ろに続くのは女駕籠で、その前後、左右にはあまたの奥女中が付き、その筆頭には尾張藩ご簾中付きの奥女中智島の姿があった。
二挺の駕籠の後には、更に二つ駕籠が続く。それらには、前(さきの)尾張藩主夫妻の二人の御子がそれぞれ乳母と同乗している。
二挺の駕籠の後には、更に二つ駕籠が続く。それらには、前(さきの)尾張藩主夫妻の二人の御子がそれぞれ乳母と同乗している。