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せめて夢の中だけでも
第12章 二度目の再会
私は仁さんに…一通りのことを話した。

橘さんとの事。

今はもう秋雨を信じてあげられない事。





隣で聞いていた沙織ちゃんは号泣している。


「先輩っ…もうっ…先輩、可哀想…」



「なんだ。麗華とのことバレてたの。」



仁さんは顔色一つ変えずにそう言った。



「沙織ちゃんだったね?凛ちゃんを連れてきてくれてありがとう。


凛ちゃんを連れてきてって頼んだのは俺。

電話番号に秋に渡してたからすぐ解った。」


「エヘ。先輩ごめんなさーい♡」




「凛ちゃん。単刀直入にいうよ?

早く秋に会ってあげて。


あいつ、もう限界だと思う。」



「仁さん?私は…秋雨の何でもないんですよ?

限界だなんて…」



「あいつの顔見たろ?」



今にも泣き出しそうな秋雨の顔…

脳裏に焼きついて離れない。



事務所の外ではクラッカーの音が鳴り
音楽が流れ出した。

誰もが
彼のことを「五十嵐さん」と呼ぶ。



私は知ってる…彼が

綺麗な名前だと言うことを…。




「仁さん。秋雨に会います。」


沙織ちゃんが横でキャァっと手を打っていた。

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