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せめて夢の中だけでも
第13章 本当の関係
「仁さん、喋りすぎ」


秋雨は怒る様子はなく笑っていた。
少し…寂しそうに…。



「秋。後はお前から話せよ。
麗華の事。いつまでも凛ちゃんを
『遊ばれてる』って言わせんなよ」



仁さんはそう言うと灰皿にタバコを押し付けた。
そして、立ち上がり入り口で
秋雨とタッチをするとフロアーへと戻っていった。



しばらくの沈黙の後、秋雨は
仁さんがさっきまで座っていたソファーへと
腰を下ろした。



「凛ちゃん、聞きたい?」


真っ直ぐ私を捉えるその目は真剣だった。






「麗華が19の時。妊娠が解った。
でもすぐ、ダメになったんだ…

俺…本気で父親になるつもりだった。


凛ちゃんに…言うのは少し嫌だけど…


俺、麗華の事、凄く大切だった。
ても出せないくらい…ね」


「子供もが駄目になったら麗華はまた遊び出して…
俺の前からいなくなった。

凄くショックだったの覚えてる」



彼の伏し目がちな目はとても切なそうだった。
ユラユラと漆黒の瞳が揺れている。

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