この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
せめて夢の中だけでも
第15章 騒つく心
「凛ちゃん…心配なら…行っておいで。」
優しい秋雨の声だった。
「えっ…」
「隼人君…好きなんでしょ?
行っておいで…」
…違う…私が好きなのは…あなたよ…
でも…隼人は…
私を支えてくれていた。
心配してないわけじゃない…
「秋雨…ごめんね。」
私は仁さんにもお礼を言うとマンションを飛び出した。
私は急いで駅へと向かい…
仕事中であろう隼人へと電話をする。
「…良かったの?秋。」
「うん。凛ちゃんが選ぶことだよ。」
「アホだな。それに転んだなんて嘘ついて。
誰だったけ?思いっきり隼人君殴ったやつ。」
「え?覚えてない。飲みすぎたかな?
てか、仁さんは手が凄く痛い。折れてるかも。
…人って硬いね…」
「凛ちゃん、帰ってこなくても…死ぬなよ。」
「もう半分…死んでるよ」
「店でろよ。その顔で。」
「ハイハイ」
………………………………………
私の心が揺れている。
一つだけ選ぶことがこんなに難しいなんて思ってもみなかった。