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せめて夢の中だけでも
第15章 騒つく心

「凛ちゃん…心配なら…行っておいで。」



優しい秋雨の声だった。



「えっ…」



「隼人君…好きなんでしょ?
行っておいで…」




…違う…私が好きなのは…あなたよ…





でも…隼人は…


私を支えてくれていた。



心配してないわけじゃない…




「秋雨…ごめんね。」



私は仁さんにもお礼を言うとマンションを飛び出した。





私は急いで駅へと向かい…

仕事中であろう隼人へと電話をする。






「…良かったの?秋。」


「うん。凛ちゃんが選ぶことだよ。」


「アホだな。それに転んだなんて嘘ついて。

誰だったけ?思いっきり隼人君殴ったやつ。」



「え?覚えてない。飲みすぎたかな?


てか、仁さんは手が凄く痛い。折れてるかも。


…人って硬いね…」



「凛ちゃん、帰ってこなくても…死ぬなよ。」



「もう半分…死んでるよ」


「店でろよ。その顔で。」


「ハイハイ」



………………………………………





私の心が揺れている。



一つだけ選ぶことがこんなに難しいなんて思ってもみなかった。
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