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せめて夢の中だけでも
第16章 3年前…side凛
あれは3年前…

私が大学を卒業して今の会社に就職したての四月。

22歳の私と隼人が出会った会社。





希望に胸を膨らませていた…わけではなかった。
不安で…不安で仕方なかったのを覚えてる。



新入職員の説明会で、偶然隣になった私達。
ガチガチに緊張していた私に
爽やかな笑顔で話しかけてくれた。




「初めまして。田中隼人って言います。
これから同じ会社で宜しくね」



爽やかってイメージが強かった隼人。

「あっ…私、斎藤凛です…」


「そんな固まんなって!同僚じゃん!」



人当たりも良くてテキパキと事をこなせる隼人は
先輩たちにも可愛がられていた。


良く、飲み会にも誘われていたのを…覚えている。




そんなある日…

「斎藤さん!駅まで一緒に帰ろう」


「えっ…?私…?」


「ダメな訳?」


「いっ…良いです!良いです!」


「ラッキー!なら帰ろー!」


駅まではそんなに遠くはない距離。

一人で歩いたって寂しくはない距離だ。


私の横で隼人は色々と話をしてくれていた。
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