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せめて夢の中だけでも
第3章 最悪な再会。
「…凛…ちゃん?」



その名前を呼ばれた事で
目の前の『彼』が
あの時の『彼』だと確信した。





「…もう会えないかと思ってた…」




優しく微笑んだ彼のその笑顔が
『悪魔』に見えた。




こんな再会、望んでなかった。


いや、一度きりの…記憶のない関係だったのだから

これが当たり前なのかもしれない…。




私は一夜限りの遊びだって事。



解っていたのに…何で

こんなにも胸が苦しいのだろう。




「…誰とでも…こんな事してるんですか?」




彼は顔色一つ変えない。




「…どうかな。…どう思う?」



はぁ?
はぁ?!


彼は薄い笑みを崩さない。



柱の向こう側で女性の声がする。
手が伸び、彼のスーツの裾を引っ張っていた。



「凛ちゃん。今日は先約だから。
またね…」



そう言って彼は女性を引っ張り
ホームに入ってきた電車に乗り込んだ。




あいつは…
史上最悪の女たらしなイケメンだ。
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