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せめて夢の中だけでも
第21章 晴れのち雨
「彼が…他の女を…抱いているところを
見たの…」



思い出したくもない過去。


私は自分の腕を強く掴んだ。




「凛ちゃん…俺を見て。」



「えっ?」




秋雨は私の頬を両手で掴んだ。



「秋雨っ…こんなの誰かに見られたら…」




「凛ちゃんの今の彼氏は誰?

凛ちゃんが今、好きなのは誰?

凛ちゃんを今、愛してるのは誰?」





「何言ってるのよ。…秋雨じゃない」




「そっ。なら過去なんて見なくて良いよ。

これから凛ちゃんは絶対幸せになるんだから。」





優しく笑っておでこにキスをする。




「秋雨…ごめん…ありがとう。」




この人はいつも私を安心させてくれる。
この人は…私を裏切ったりしない。




「じゃぁ。お店に戻るから。
また、明日ね」



秋雨は私の頬を引っ張ると
いつもの笑顔を向けて帰って行った。
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