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せめて夢の中だけでも
第27章 疑惑と嫉妬。
「凛ちゃん!」


向こうで微笑んで私を手招きして呼ぶ。



「それじゃ、仁さんも…頑張ってください!
浮気したらダメですよ!」


仁さんは片手を上げて満面の笑みで私達を見送ってくれた。





お店から秋雨のマンションまで二人で歩く。




「凛ちゃん、寂しくなったら電話するんだよ?

24時間、いつでも。」



「…うん。」


「あと、変な男について行ったらだめだよ?」


「…うん。」








「仁さんの弟とか…」


「?」


「アイツ、女に手が早いから…」



「秋雨みたいね」


「言うね…凛ちゃん」



お互いに顔は一切見なかった。



見れなかったんだと思う…

私も本当は…離れることが怖かった。


ただ、秋雨が急に握ってくれた手は
とても力強かった。
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