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せめて夢の中だけでも
第29章 宣戦布告
「ーーーっ!!」
『もしもし…?何か用事?』
「用事って…秋雨…は?」
『隣で寝てるわよ。』
その人の声は小さくクスッと笑った。
…隣で…寝てる?
何も言えずにいると…向こう側で
秋雨の声がした。
『朱里…?』
『おはよう。電話よ。』
『お前っ、何勝手に出てるんだよ!』
秋雨の聞いたこともない様な怒鳴る声。
私の知らない秋雨…。
『凛ちゃんっ!ごめんっ!』
声の主が秋雨へと変わる。
もう何も言うことはなかった…。
「秋雨…待ってたんだよ…会いたかった…」
『凛ちゃん…ごめん…』
「…何してたの?」
『…何も』
「何もって…」
『本当に何もない。
今来たんだよ…朱里は』
もう何も…見えない…
信じれない…
きっとこれは
彼女からの『宣戦布告』…