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せめて夢の中だけでも
第29章 宣戦布告
電話の向こうからは2人が言い争う声。
秋雨があんなに声を荒げるなんで…
二人の関係も何も知らない私は
そっと電話を切った。
すぐに折り返しの電話がきたが…
私は結局出る勇気はなかった。
私は涙で滲む度に目を擦り
しばらくしてから隼人の所へ戻った。
部屋へ入るや否や…彼はベッドで足を組んで
私を待っていたと言わんばかりの
不機嫌そうな顔でこちらを見た。
あの目は私の気持ちを全て
読み取りそうなほど真っ直ぐだった。
「来いよ。泣きてーんだろ。」
本当に…本当に…
隼人はビックリするほど私を見ている。
私はゆっくりと隼人の座る横へと座った。
頭に手が回されて
コツンと肩にもたれかかるように力を込める。
涙がポタポタと溢れ
隼人の服を濡らしていく。