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せめて夢の中だけでも
第31章 溢れる心と溢れた優しさ
「いっつもなんだ…
俺は秋兄には勝てない。」
私が煌の前に座ると
私の腰を引き抱きしめた。
「凛ちゃん…好きだよ」
真っ直ぐ私を向いて煌は言う。
これは…煌の気持ちだとすぐに分かった。
正面を向いて真っ直ぐ…。
「俺ね…朱里が、好きだったんだ。
でも、朱里は秋兄だった。
だから…諦めたんだ…
もう…凛ちゃんは、諦めたくない。」
私を抱きしめる腕に力が入る。
煌君は私を見つめてゆっくりと顔を近づけて来る。
咄嗟に顔を引いてしまったが…
彼は御構いなしで軽くキスをした。
そして…思った。
違う…
煌に目を向けると
煌も何かを感じているようで
薄く笑みを浮かべた。
「俺、お人好しなんだ。」
その言葉で…わかってしまった。