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せめて夢の中だけでも
第5章 静止の手。
……………………………………………





月曜日。





土曜日の夜…。

結局、秋雨は私には何もしなかった。



…しなくても女は何人もいるんでしょうね…


私はとことん捻くれていると思う。
何もしてこなかったことを…

『誠実』とさえ受け取れないのだから。





「おはよ。」


後ろから出勤してきた隼人に声をかけられ
エントランスから一緒にエレベーターに乗り込む。


エントランスにいる隼人の彼女が
営業スマイルで
「おはようございます」と礼をしたが…

あれは…笑っていなかった。




エレベーターでは

「お前!あの後大丈夫だった?」

と心配してくれる。


「ん。次の日、友香に付き合ってもらった。」





「って事は…飲んだな?」



「うっ…はい。すいません。」



「まっ。元気が出たなら良かったよ。」


そう言ってエレベーターの扉が開くと同時に
隼人はサッサと先に出て行ってしまった。
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