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せめて夢の中だけでも
第32章 再会。
仁さんの車に乗り込んだ後も…
私たちは無言だった。
助手席の朱里さんは…
私からは姿は見えないけれど…
怒っているのだろうか。
秋雨のマンションの近くに着くと
当たり前のように朱里さんも一緒に降りる。
「おい。朱里、お前何で秋兄と同じところで降りるんだよ?」
「聞いてないの?一緒に住むのよ?」
チラッと私の方へ視線を向ける朱里さんを
私は見逃さなかった。
私は無意識に…隣の煌君の
服の裾をギュっと掴んでいた。
その手をジッと秋雨が見つめている。
「一ヶ月だけだから…」
と仁さんは笑っていたが…
ここにいる誰もが笑える状態ではなかった。
「…なら俺も。」
横で煌が口を開く。
「なら俺も、最後の1ヶ月くらい
凛ちゃんと一緒に住むよ。」
私の肩を抱き寄せ
へへっと可愛い笑顔をむける。